ワット・アルンの仏塔は、中央に特大級が1基と、その四方に4基立っている。
中央の特大仏塔は高さが75メートル(81、79、67メートルなど諸説あり)、台座の周囲は234メートルと巨大。ワット・チェーン時代にも仏塔はあったのだが、その時は高さが16メートルしかなかった。
この高さ16メートルの仏塔を、ラーマ3世が5年がかりで再構築し、現在の姿となったのだ。
仏塔表面には中国陶器の破片が埋め込まれ、その硬質な色艶が暁の中で微妙な輝きを放つよう装飾されている。
先端に飾られている金属細工はシヴァ神の象徴(ノッパスーン)で、避雷針ではない。
そのやや下方の祠から顔を出しているのがバラモンのインドラ神とその乗り物である3つの頭を持つエラワン象の石像だ。
さらに塔全体を支えているのはラーマキエン物語の出演者であるガルーダ、悪魔、猿の大群。
タイ仏教はバラモン教と密接に結び付いているが、クメール帝国崩壊後のタイでこれほどバラモン色を押し出した建築物はほかにはない。
塔の四方には祠が4つ設けられ、中にはそれぞれ仏像が祭られているが、仏教的なものはこれくらいのもの。大仏塔の周囲に立つ4基の仏塔も高さが低いだけで造りは同じである。
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