他国と国境を接しているタイはこれまで何度も隣国との熾烈な領土争いを繰り広げてきた。
試合が行われるスタジアムは両者ともリングサイド、2階席、金網に囲まれた3階席に別れており、すべて自由席。だから、よい席がほしければはやめにスタジアムに足を運んだほうがいい。
こうした試合が各スタジアムとも一晩10試合ほど組まれ、まず軽量級や無名選手のファイトで始まり、7試合目あたりから注目選手が出始める。 スタジアムの入口で簡単な選手紹介プログラムが配られるので、もらっておくと参考になるだろう(英語版あり)。
これは直訳すれば“先生への舞”で、コーチや神などに捧げる感謝と祈りの意味が込められているが、最近は形骸化し、たんなる試合前の儀式と化しているのが真実。 それでも、まるでコブラ使いのような粘っこい音楽にあわせて踊る彼らの舞姿は官能的で美しく、見る価値は十分にある。 ワイ・クルーがすむとゴングが鳴って試合開始。だが1、2ラウンドはお互いの様子の探り合いに終始し、あまり激しさは感じられない。 なぜかといえば、これにも理由があるのである。
客に向かって手をあげているのが賭け屋で、賭け率などはその指サインで表示される。客はまず賭け屋が発行した勝敗予想表(!)を見て作戦を立て、1、2ラウンドの選手の動きを見、賭け屋の賭け率を調べてから金を張る。 だから選手たちも、最初は様子見に終始せざるを得ないのだ。 なにしろ序盤の1、2ラウンドは副審たちもまともにジャッジしていないというくらいだから、本格的な戦いは3ラウンドからと言ったってかまわない(ただし、たまに不意打ちをして勝つ選手もいる)。
選手が使うグローブは基本的に6オンスと国際式よりかなり薄く、それだけでもK.O.シーンが増えそうなものなのに、なぜなのか。それはK.O.で試合が決まらないようスタジアム側が選手の実力差を非常に綿密に検討し、試合を組んでいるためだ。 それもこれも、K.O.で早いラウンドに試合が決まると客が金を賭けている時間がなくなるからなのである。
「K.O.シーンが少なくてつまらない」 と嘆く人も多いが、実際こんなハイレベルな真剣勝負は、ムエタイのリング以外どこにもないと思って間違いないだろう。
(1945年創立) Ratchadamnoen 月・水曜 19:00〜 木曜 17:00〜,21:00〜 日曜 14:00〜,18:00〜 エアコン付き。 (1956年創立) Lumpini 火・金曜 19:00〜 土曜 17:00〜,20:30〜 エアコンなしの半屋外スタジアム。
入場料が2〜3倍になる。 |
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