実践的タイ料理の食べ方

by 藤井伸二+ブライアン

 

食器の使いかた

 西洋料理を食べるとき、テーブルの上に並ぶのはナイフとフォークだが、タイ料理の場合はこれがスプーンとフォークになる。これは屋台に行こうが高級レストランに行こうがかわらない基本中の基本だ。
 使い方の特徴は、ナイフやフォークを持つときのように握り込まず、右手にスプーン、左手にフォークを、それぞれ鉛筆を持つような要領で軽く持つこと。
 実際に使うのは右手のスプーンで、具の肉などが大きく、一口で口に入らない場合はスプーンの縁をナイフのように使って切ればいい。フォークの役目はその際に料理が動かないよう支えとして使うだけで、突き刺して口に運んでもいいが、それは子供の作法だから大人は注意しよう。
 トム・ヤムなどのスープ類は大鉢(あるいはモー・ファイと呼ばれる火鍋)に入れられて出てくる。レストランなどでは小さな取り皿が配られるので、各自それにすくい、手持ちのレンゲで食べればいい。
 一般家庭の食卓の場合は取り皿など必要とせず、鍋物を食べる要領で大鉢から直接自分のスプーンでスープをすくい、直接口元に運んで食べる。

 

基本的な食事マナー

@食器には絶対に口をつけないこと。
 平皿を持ち上げて残った米を口元にかき寄せたり、ドンブリをかかげて汁を直接すすったりするのは重大なマナー違反だから、料理は必ずスプーン(かレンゲ)を使って口に入れること。
 中国系の老人たちは日本的に茶碗を持ち上げ、箸でかき込んで食べているが、これはタイでは特殊な食べ方なのだ。

A料理にかぶりつかないこと。
 大きな料理は必ず一口大に切ってから食べるように。
 フライドチキンなどもガブリと食いつかず、チマチマと肉をむしって食べるのがタイ風。魚のから揚げも、むしって食べる。とうもろこしも、むしって食べる。

B白米(カオ・プラオ)はスプーンで食べるが、もち米(カオ・ニャウ)は手で食べる。
 食べ方は、寿司を握る要領でもち米をつまみとり、一口大に軽く握って口に入れる。たくさんつかむのは品がない。
 もち米が食卓に出された場合、そのほかの料理も手で食べてかまわない。もち米が主食の北部・東北部地方では、料理は手で食べるのが基本なのだ。

麺類の食べかた

 麺類は、出されたものをそのまま食べてはいけない。どうするかというと、食べる前に 「自分で調味する」 のだ。
 タイの麺類は、あとで調味されるという前提のもとに薄味で出される。つまりそれは未完成の状態だから、まず一口味見をし、なにが足りないかを考えて、各自で好みの味付けにして食べる必要がある。
 テーブルの上には魚醤油ナムプラー(茶色の液体)、トウガラシを浸けた(透明の液体)、粉末トウガラシ砂糖の4つを入れた調味セットが必ず置かれているから、これを各自の好みに応じて加えればいい。
 ラーメンに砂糖を入れることに抵抗を覚える日本人は多いというが、粉末トウガラシとの相乗効果により一種のコク(のようなもの)が生まれ、意外とイケる。これを入れないことにはタイで麺類を食べたことにならないので、ためらわずどっさりブチこんで、本物のタイ式麺の味を賞味しよう。
 うまさのポイントは粉末トウガラシと砂糖をほぼ同量入れることで、目安はそれぞれ小サジ山盛り1〜2杯!
 その後の食べ方だが、麺類はタイ料理と違って箸で食べる。しかし日本人のように箸で直接麺をすすりあげず、箸でつまんだ麺を一度レンゲに上に乗せてから口に運ぶのがタイ式の食べ方。
 日本式にズルズル音を立てて麺をすすると周囲のタイ人に笑われるので気をつけたい。

 

食事中の飲みもの

 基本は水(ナーム)かお茶(ナム・チャー)だが、コーラやオレンジジュースといったソフトドリンクも広く飲まれる。
 タイは暑い国のためかソフトドリンクも日本のものより甘味が強いのが特徴で、はっきり言えば香りのついた砂糖水。

 非常に辛い料理を食べ、非常に甘い飲み物を飲むわけだが、とにかくタイ人の食行為にはメリハリがあるのだ。

 

 

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