注意していても起こってしまうのがトラブルだ。その被害が、もし我々の身におよんだ場合、どう対処すればいいだろう。 パスポート、トラベラーズ・チェック、荷物、チケットなど貴重品の盗難・紛失の場合は、まず近くの警察署かツーリスト・ポリスのオフィスに行って紛失証明書を発行してもらう。紛失証明書は無料だが、ツーリスト・ポリスに英文で書いてもらった場合は手数料が必要なので、現金は必ず持って行くこと。 よほどの大事件以外、初動捜査はされなくて当たり前。本格的に捜査を始めても解決は偶然に頼るしかないらしい。その一方で、多額の捜査費用を支払うと、警察幹部も重い腰を上げてくれるというが……要は、盗まれたものは2度と戻ってこないということだ。 貴重品を全部盗まれた場合は、まずパスポートの再発行手続きから始める。これがないと自分のアイデンティティが証明されないわけだし、タイ国にいるという存在理由も不確かなものになる。パスポートを持っていないあなたは、どうやって自分を証明できますか? クレジット・カードなどで信用してくれるほどタイ人はお人よしではない。 そのクレジット・カードが盗まれている場合は、犯行発見と同時にカード会社に連絡し、使用不可の手続きをしておく。トラベラーズ・チェックも同様だ。さもないと勝手に全額引き出されてしまうだろう。タイではそういうことも可能なのだ。 アソーク通りのサーミット・タワー内にある日本大使館領事部に、 @5p×5pの写真 を持って行き、申請する。そのときに、パスポートのコピーを持っていれば申請者が本人であることの確認ができるので仕事が速い。
@パスポート を持って行く。 格安航空券をなくした場合の再発行は期待できない。しかし、航空会社のオフィスに行って説得を試みる価値はあるかもしれない。泣き落としをしてみて、それで効いたらもうけものだ。 現金や荷物などが紛失した場合、戻ってくる可能性はまずないので、期待は持たないほうがいい。 ブラ 被害にあった人が必ず言うのが 「日本大使館はなにもしてくれない」 なんだけど、実際、なにかしてくれるのか? 藤井 死んだら引き取りに来てくれる。これだけは間違いない。逆に現地の日本人の間では、「死ぬまで来ない連中」 って言われてるけど。 ブラ 基本的には日本の役所だからな、庶民のためにあるはずがない。 藤井 あれは日系の大企業を守るためにあるんだよ。それより俺が嫌なのは、現地採用の職員が妙に威張ってることなんだな。男も女も、威張ってるのはみんな現地採用だよ。日本から来てる人は意外といい人が多いんだ。短期赴任だからかな。 ブラ 俺も一度、刑務所にいる日本人に差し入れしに行こうと思って問い合わせに行って、ムチャクチャ腹が立ったことあるよ。あいつはまだあの事務所にいるぞ。 藤井 でもさあ、助けを求めて来る人の中には、本当に常識のない人もいるよ。「お金を貸してください、日本に戻ったら必ず返します」 なんて言われて貸して、実際に返してくるのは半分くらいとか言うしね。「人間としての基本ができていない人が多い」 って担当者が嘆いてた。 ブラ しかしね、アメリカとかイギリスの大使館を見てると、自国民の保護には熱心じゃないか。日本大使館の態度からは、そんな印象は受けない。 藤井 有事の際の対応はすばやいね。ただ、「金を盗られた」 とか 「女にだまされた」 なんていう被害者には似たような態度らしいぞ。 ブラ 『ミッドナイト・エクスプレス』 なんて見てて思うんだけどさ、もし俺が刑務所から脱走して大使館に逃げ込んでも、日本大使館の職員は絶対に中に入れてくれないよ。 藤井 あのケースだったら、入れてもすぐに警察に突き返すだろうね。それで、看守の殺害も罪に加わって確実に死刑だ。 ブラ やっぱりなにもしてくれないじゃないか。 藤井 だから死んだら面倒見てくれるって(笑)。 ブラ それだと意味ない。 藤井 前にカオサンで、ゲストハウスの主人に 「大使館に言いつけてやる!」 なんてすごんでるオバハンがいた。なんだと思ったら、「食堂にいた猫に咬まれた」 って言うんだな。笑ったよ、あれには。大使館ってそういう役所だったのか(笑)。 |
|
コミック化した1冊 〜知らなきゃアナタもダマされる〜 すでに新刊の在庫なし とごかで目にしたら その場でゲットしておきましょう |
新たに発見されたトラブルの報告は |