ソンクラーンの前日にシーラチャあたりで魚関係の仕事をしているという初老の日本人の男(以前から時々食事に来ている人)が私を訪ねてきました。 常宿にしている某安宿でお金を盗まれて困っているとのことだったので(タイに住んでいるのにATMすら持っていない!)、ちょっと様子が変だなとは思ったんですが、日本から息子も来るし、16日には必ず返すと言うので一筆だけ書いてもらって3,000バーツ貸してあげました。 ところが、いつまでたっても現れない。 そうしたらそのオヤジ、一瞬ギョッとした顔をしたけどすぐにニコニコしながら、 オヤジは悔しそうな顔してたけど、財布には最低でも5,000バーツは入っていましたね。オヤジは、 まったくいい年して、たった3,000バーツを踏み倒すつもりだったんですかね。 藤井 往来でとっつかまえて、とりあえずその場で返させたってのがまず偉い。すごいぞMR. ××(とりあえず伏せ字)! 格闘技をやっている対馬の奥野支局長は常々、 ブラ ただの日本料理屋のオーナーだと思ってる人が多いけど、実はバックパッカーあがりだから、この手のいいかげんなやつらの腹の内はよく知ってるんだよ。 藤井 「いい年して、たった3,000バーツを踏み倒すつもりだったんですかね」と彼は言ってるけど、間違いない、踏み倒すつもりだったよ。あるいは貸した相手が弱気になって取り立てないと踏んでたか。 ブラ 「シーラチャあたりで魚関係の仕事をしている」って、なんだ? 漁師か? 藤井 いや、運び屋だろうね。実はこの仕事、日本から持ってきた財産を全部遊びか事業の失敗でなくしてしまったような人がやる商売でね。もちろんまじめにやってる人もいるけど、とりあえず現金を得られるってんで、本当の意味で「とりあえず」やってる人が多くいるらしいんだ。そんな話はよく聞くよ。なぜだか知らないんだけど、たしかに金に困ってる人は多いようだ。現金商売だから、しかたのない話かもしれないけど。 ブラ 日本料理の食材の運び屋って、すごく大勢いるよね。 藤井 日本料理屋だけでバンコク市内に500軒だからね。仕事は成り立つと思うよ。そう言えばベトナムで事業をやってる俺の上司のI食品工業(仮称)のI会長(仮名)だけど、彼がカラオケクラブを経営したときの初代店長が同じ魚の運び屋あがりだった。事業でコケて運び屋やってるところをスカウトして店長にしたんだが、勤務してすぐ辞めちまった。しかも、店の女に手を出したりしてね(苦笑)。見るからに責任のある仕事なんてできない感じだったんだが、そのままだった。 ブラ I会長も、よくそんな人間を雇う気になったな。 藤井 それはだな、まずこいつがI会長に「魚を仕入れる金がないから貸してくれ」と言ってきたことから始まったんだ。で、貸したけど返しに来ない。だからI会長が首根っこつかまえて、「返せないなら体で返せ」ってことで店長にさせたわけ。 ブラ いくつくらいの人? 藤井 40歳は軽く越えてるような人。俺も「このトシでこれか……」なんて思ったもん。 ブラ このMR. ××をだまそうと考えたオヤジも初老って書いてあるけど、初老でこれじゃ、未来なんてないな。 藤井 でも、それがバンコクなんだよ。いっぱいいるぜ。実現しない夢の話と、ねたみと、他人の悪口しか言えないヤツ。 ブラ 多いな、実際。 藤井 成功した人間をねたむのはいいけど、その前に努力してみろっての。1日10バーツずつでもいいから貯金したらどうかと思うね。でも、この手の人間は、そうしたわずか努力もできないっていうか、しないヤツばかりだ。鏡の前に立っても自分の姿が見えない人たちばかりだよ。 ブラ 信用しないほうがいいってことかな。 藤井 実際、スッテンテンってわけじゃないんだよね、こいつらは。MR. ××も書いてるけど、他人から金を借りといて、返そうともしないくせに、財布には5,000バーツくらい入ってるわけだ。金がないんじゃなくて、要するに遊ぶ金がないだけなんだよ。同情の余地なんてない。 ブラ そういうゴロツキのオヤジって、ま、たしかに日本にもいるわ。 藤井 昔は、そういうのはフィリピンにいたんだけど、最近はタイってわけだろうな。 |
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