タイにはワリカンという習慣がないことを覚えていてほしい。 そこで実例といこう。 仲のよくなったタイ人が 「今夜一緒に食事しよう」 などと言い出すと、人のいい日本人は無条件にOKするが、行ってみるとそこには何人もの仲間がいる。 「このほうが楽しいだろう。君もタイ人の友達がほしいって言ってたじゃないか」 しかし、腹いっぱい飲み食いした後の会計書は、GNP世界一の国民の手に。 「ワリカンじゃないのか?」 「ノーノー。それは君が払うんだよ」 悪意があったのか、それとも本当に日本の友に楽しい思いをさせたかったのか。 ブラ これをトラブルって呼んでもいいのかね? 藤井 文化的トラブルかな。だって、タイ人はワリカンしないもん。誘いをオーケーした時点で、勘定書を握ったようなもんだよ。 ブラ よほどデカイ金額にならないかぎり、1人が払うか。 藤井 そうなんだけどさ、たまにこれを悪意に満ちてやる悪ガキがいる。二流の大学生に多いね。ズルさ丸出しで、「いっちょうカモってやる」 なんて思ってる。それでもめると暴力に訴えたりするらしい。でも、この話は、俺としては2回しか耳にしてない。 ブラ カモられるほうもバカなんじゃないのか? 藤井 バカっていうのか世間知らずっていうのかウブっていうのか、ともかく 「地元の若者たちとの交流」 に飢えてるんだ。「タイ人の友達ができた!」 なんて、単純に喜んだりしてね。若者はみんないい人だって思い込んでる。 ブラ 日本の大学生だって、全員がいいやつとはかぎらない。要領のいいだけのズルいやつだっているじゃないか。 藤井 外国に行くと、みんないい人に見えるのかもしれない。 ブラ みんな悪人に見える人もいるけど、それとどっちがいいのかな。 藤井 さあねえ。どっちも不幸かもしれないけど、俺は、みんないい人だと思って旅したいね。 ブラ でもさ、たとえば女とデートするじゃないか。その場合、男は当然のように金を出さなきゃいけない。それでも日本人は腹を立てるのかね。 藤井 立てるヤツも、けっこういる。それも、女しだいだと思うね。金を払ってもらって当然なんて態度だと、俺だって腹が立つよ。実際、途中で帰ることだってある。 ブラ 逆に、女から金をもらってデートするってことはないのかな。 藤井 それがあるんだな、俺の場合(笑)。南蛮亭の石井さんに、「情けねえなあ」 なんて言われてるけど、なんというか、ヒモっぽくて愉快なんだよ(笑)。 ブラ 笑ってられる今がハナ、なんてね(苦笑)。 |
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