タイでの旅行トラブル集 一般トラブル

トラブルを避ける基本的な極意

社会的マナーと常識を学ぶ

提供 ジャアク商会
藤井伸二+ブライアン

 

1.タイ王室への敬意を学ぶ

 タイの国民は王室を大変深く尊敬している。東京の街角などでは、たまに左翼系の人々が反皇室アジテーションを展開しているが、ここタイではそういった連中に出会うことが、まずない。

 「王室を敬う」 のはタイ国民の一般常識だ。
 商店や食堂に国王や王妃の肖像写真が高く掲げられているのを見かけないだろうか。カレンダーなどにも王室関係者の写真を使用しているものが多いし、いまだに大多数の人がチュラロンコーン王(ラーマ5世)を敬っている。

 わたしたち旅行者も、タイに滞在中はタイ王室に対して尊敬の念を抱かなければならない。トラブルを避けたいなら、国民の感情を逆なでするような知ったかぶりな言動や行動は慎むことだ。
 海外に出たとたん急にジャーナリスティックになり、やたらと政治的・反体制的な話をしたがる人がいるが、無礼な話はたとえ日本語であっても慎みたい。
 王室不敬罪は存在するし、それは旅行者であろうが外国人であろうが適応される。不敬な発言がもとで議会を追放された政治家もいる。

 日本人と皇室との関係をそのままタイにあてはめてはいけない。タイ人と王室との関係は、それよりももっと厳しいのだ。
 とにかく、反王室的な態度をとってもなにもいいことがないので、おとなしく慣習に従うこと。

2.仏教と宗教への敬意を学ぶ

 多くのタイ人は、「日本人もわたしたちと同じ仏教徒」 と考えており、仏教に対する考え方も同じようなものだと思っているようだ。
 たとえば、欧米人旅行者が仏教に対して不敬なマネ(仏座に腰かけたり、仏像に腕を回したり)をしても、

「あいつらはナーンも知らんのだ」

 と許してもらえたりするが、日本人だとそうはいかず、タイの仏教が馬鹿にされたと感じてしまう。
 仏教徒でありながら仏教が生活から離れてしまった日本人は、つい軽率な振る舞いをしがちだが、せめてタイにいる間だけは、「宗教とは厳格なものである」 との意識を持っておきたい(タイ仏教と日本の仏教の違いについてはこちらをクリック)。

 寺院を見学に行く時はきちんとした服装を心掛けたいし、街をいく僧侶には敬意を持って接したい。僧侶はわたしたち一般人とは別格の存在だから、それは当然のことなのだ。

 また、寺院の本堂や仏像は大変に聖なるもの。いい大人がバカ丸出しで本堂内をはしゃぎまわったり大声をあげたりするのは不敬というより人類の恥だ。
 なにも知らない欧米人の中には、仏像と並んで写真を撮ったり背後に回ってVサインを出したりする人もいるが、これなどは即刻国外退去ものの失礼だ。仏陀や仏像はわたしたちが手を触れたり同等に扱ったりすることができない聖体であり、仏陀が空を飛ぶ航空機を見上げているポスターを作ったルフトハンザ航空などは、あとで謝罪を命じられたほど。
 そもそも仏像が人の頭より低い位置にあってはいけないのだから、これもしかたのないことなのだ。

 旅先ではしゃぎたい気持ちはわかるが、寺院は観光ではなく拝観するために赴く場所だ。それを思い、聖なる心を持って接すれば、あなたの心は今より一歩、涅槃に近づくことだろう。

3.足の裏は不浄だ

 タイには、「この足の裏野郎!」 という罵倒語があるくらいで、足の裏は人体の中でも不浄の極み。そんなわけで、あぐらをかいたり、椅子に座って足を組んだりした時には (足を組むという行為自体いけないことなのだが) 足の裏をタイ人の方向に向けないようにすること。

 また、人の体をまたぐ行為も厳禁だ。隣に座っている人の足をまたいでもいけないから、映画館やバス、列車の車内では、特に注意しよう。
 どうしても必要な場合は一声かけて、よけてもらう。たとえ眠っている場合でも、起こしてよけてもらうほうが喜ばれる。
 人の体に気安く触るのもいけないが、これらの習慣は地方に行けば行くほど厳しくなる。

4.そのほか

 タイの警察官は、給料は安いものの地位は高い。彼らに向かって不遜な態度をとったり、手を出して突っかかったりすると、それだけで重大なトラブルになる。
 日本の警官のつもりでからんだりすると、どんなことになるか、想像するだけで……おおコワイ。

 人の頭は精霊の宿る大切な場所と信じられているので、他人の頭部にはなるべく触れないこと。
 かわいい子供の頭をナデナデするくらいなら平気だが、それでも気をつけておきたい。

 タイでは右手は清浄、左手は不浄ということになっている。
 だから、大切なものを左手で扱うとヒンシュクを買う。
 左利きの人の場合、日常生活では逆にしていることもあるが、公式な場では絶対に不可。

 公衆の面前での男女交際にも注意したい。
 バンコクは西洋化が進んでいるので異性間(同性間)の開放的な愛情表現が近代化のひとつと見なされないこともないが、封建的な考え方の人もまだまだ多い。ここはタイ人の習慣に従って人目を避け、「楽しみはのちほど」 ということにしたいもの。
 男女旅行者ともに、タイでは 「謹み」 という言葉の意味を再確認しよう。

 そのほか、タイには精霊信仰に基づく迷信やタブーが多く、ひとつずつあげていけばきりがない。
 外国人だから許されるとは思わず、外国人だからこそ土地のルールを守るようにしたい。


藤井 タイ人は、自分がバカにされるのを嫌うからねえ。

ブラ でも、他人をバカにするのは好きなんだよねえ(笑)。

藤井 けっこう調子いいからな。説教たれているときは、自分がだれだかわかってないことが多い(笑)。足元を見る習慣なんて、ないんだよ。主役はいつも自分なんだから。

ブラ いまの王子が王位に就いても、国民は敬意を払うんだろうか?

藤井 いまでも5世の写真を掲げてるように、次代になってもプーミポン王の写真は降ろさないと思うよ。

ブラ こういう話をすること自体が、タイでは不敬罪につながりかねん。

藤井 その王様より、お寺の坊さんのほうが偉いんだから、タイっていう国はむずかしい。

ブラ マナーっていう話なら、日本人が公衆の面前でキスするところを見るのは、俺はとっても嫌なんだが。

藤井 欧米人のマネなんだが、どうやってもマネでしかない。身についてないから、極端に田舎臭いんだな。やるならもっとスマートにやってほしいけど、だいたい無理にマネする必要はないと思う。ほかの愛情表現法もあるだろう。

ブラ アイコンタクトとか?

藤井 それは、もっと下手なんじゃないか? ただの媚態になってたりするぞ。

ブラ ともかく、空港なんかでタイ人女と白人男がベタ〜ッと愛を交わしている光景に似た不愉快感があるな。

藤井 カメラマンのN氏が言うところの 「発情してる」 だね。いやホント、的を得た言い方だと思うよ。


このトラブルに対しての心得

1.団体旅行者だからといって調子に乗らない

2.タイは日本ではない

3.タイは遊園地ではない


 

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