タイでの旅行トラブル集 49

エイズの話2003

消えた女乞食

タイ在住 某日本料理店経営者

提供 ジャアク商会
藤井伸二+ブライアン

 おもしろい話っていうか、いかにもタイって話が2度あったので、言っときましょう。

 うちの店によく来る女の乞食がいるんですが、それがいきなり妊娠してるんですよ。で、もうすぐ生まれそうだから、店の車で病院にまで送ってくれって言ってきたんです。

 乞食なんかにうちの買ったばかりの車を……と思ったんですが、助けてやらないわけにもいかないし、しかたがないから車を出そうと思ったら従業員がやってきて、

「ナイハンナイハン!(注:ご主人様ご主人様) その女はエイズだから近づいちゃダメだ!」

 と言うんですね。冗談かと思ったら本当で、それはみんな知ってる事実らしい。

 そう聞くとなんだか怖くなったし、従業員たちは絶対に車に乗せるなって言うし、結局タクシー代を渡して自分で病院まで行ってもらいました。エイズの人って、やっぱりどこにでもいるんですね。

 それからしばらくしたらまたその乞食が来たんですが、子供はちゃんと生まれてました。で、今度はなんだといったら、
「ちょっとトイレを貸してほしい。その間、この子供をちょっと見てくれ」
 って言うんです。
 今度はトイレか、しかたがないなと思って貸そうと思ったらまた従業員がやってきて、

「ナイハンナイハン! 絶対に子供を受け取っちゃダメだ! そのままいなくなっちゃうから!」

 要するに、子供を渡して自分はどこかに逃げようってことだったらしいんですね。

 さすがはタイ人っていうか敏感で、普通だったら「かわいいかわいい」って頭をなでたりするんだけど、このときは誰も手を出そうとしなかった。こうしたことは、たぶんよくあることなんでしょうねぇ。

 それ以来この女乞食の姿は見ていません。いまどこにいるんでしょうかね。子供も一緒にいるんでしょうか。

 とにかく、すっかり消えてしまいましたよ。


藤井 HIV感染者はどこにでもいるってことかな。

ブラ 感染者差別はいけないことなんだぜ。

藤井 そうは言うけどさ、いままさに目の前にその人がいたら、正直言って腰が引けると思うよ。俺なんて、「私は実は癌なんです」って言われただけで近づくのが怖くなったりするよ。
 そう言えば前にいたな。バス停でバスを待ってたら隣に痩せたタイ人が並んで、ふと見たらそいつの腕に注射の痕がズラ〜ッと並んでる。きれ〜いに静脈に沿って痕がついてるんだ。怖かったよ〜、あれは(苦笑)。

ブラ でも、知らなきゃいいってわけだ。「知らぬが仏」ってね。

藤井 それを気にしてたら、東南アジアのどの国にも長居できないと思うよ。

ブラ 実際、どのくらい隠れてるんだろうな。実際はすごく身近にあふれるくらいいたりしてね。

藤井 この話に出てくる乞食だって、どこから感染したんだろうね。だいたい周囲のタイ人はなぜ感染の事実を知ってるんだろう?

ブラ 元は娼婦だったんじゃないの? だからみんな知ってるんだろうよ。「よう××ちゃん、今日は仕事じゃないの?」なんて言ってるうちに、「あいつが仕事できなくなったのはエイズのせいらしい」ってことになって、それでみんな知ってるんだよ。

藤井 それってどこかで聞いた話か?

ブラ まあな。俺もいろいろあるし(笑)。

藤井 この女性は、トイレを借りに来たそのあと姿を消して、物乞いにも来なくなったらしいんだが、どうしたのかな? 死んだ?

ブラ 売春業に復帰して金回りがよくなって、乞食をする必要がなくなったってことはないか?

藤井 俺はそんな気がするんだが……7月22日ロータリーのあたりにきっといると思うよ。

ブラ 怖いもんなしだから強い。どんな客でも取れるだろう。

藤井 まさに「失うものはなにもない」って心境だよね。

ブラ 「当たって砕けろ」って言葉も使えそうだ

藤井 まったくのホラーだよな。でも、そういう捨て身の娼婦を求める客がいるわけだからなりたつわけで、罪があるとしたら客のほうなんだよな。

 

某日本料理店経営者様、ありがとうございました。

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