タイでの旅行トラブル集7

盗難と置き引き

提供 ジャアク商会
藤井伸二+ブライアン

 

 人が多い場所で荷物を置き放しにしていたら、その荷物はたぶん盗まれる。これは世界のどこでも共通だ。
 日本でよくある 「席取りのための荷物置き」 なんて、泥棒へのプレゼントのようなものだから、即座にやめましょう。
 とくに盗む気がなくても、目の前に高価なものがあって、しかも周囲にだれもいなかったら、魔がさすこともあるだろう。その場合、どっちが悪いのかはよくわからない。

 それより注意したいのは、ホテルやゲストハウス内での盗難だ。部屋の中に置いておいた貴重品が外出から帰ってみると消えていた、という話はけっこうある(詳細はブライアン14の部屋をどうぞ)。
 高級ホテルの場合は、ひょっとしたら抗議が通ることもあるが……高級ではなく、一流の場合かな……中級以下の場合は、「知らぬ存ぜぬ」 の態度を貫かれることのほうが多い。

 悪質なホテルの場合は、フロントのセイフティ・ボックスの中に預けていても、貴重品が紛失してしまうことがある。貴重品の内容確認をしたがらないホテルのセイフティ・ボックスは使用しないほうが賢明だろう。
 また、小さなホテルの場合、清掃係はフロアの全客室のドアを開けて一度にベッドメイクすることが多く、外部から悪意あるものがたやすく侵入・物色できてしまう。
 旅社やゲストハウスのように、自前の鍵をかけられない宿では、前に宿泊した時の鍵を複製して後日盗みを働くものがいたりするから、部屋の中だからと安心せず、貴重品は確実に保管しておくことが大切だ。

 タイでは、外国人のパスポートは金になるし、トラベラーズ・チェックは額面の半額で引き取ってくれる闇ルートがあるので、すべてが発作的犯行であるとはいえない。手口も巧妙で、宿全体がグルだと思えるような犯行もある。盗られてから泣いても無駄。対応策は十分に検討しておきたい。

 泥棒は置き引きや侵入だけでなく、頭を使うこともある。

 ツアー客は、チェックインしたホテルで狙われる。旅行会社の人間を騙った人間がやってきて、
「パスポートをあずかります」
 と言ったり、
「不備があったので、もう一度チェックイン手続きをします」
 と言う。そのままグループ全員のパスポートを持ってドロリ。
 ツアーの場合はガイドや添乗員の顔をしっかり覚えておくことです。


藤井 偽ツアーガイド泥棒は、出るホテルが決まってるんだ。

ブラ なぜかね?

藤井 さあね。間違いないのは、そこがダメホテルってこと。スタッフもいいかげんだから、事後処理も最低だ。

ブラ セイフティ・ボックス破りってのは?

藤井 物理的に破るってのは、ほとんどないらしい。たいていは手品だ。開けたらドロン、なにもない。

ブラ これは文句の言いようがないな。「最初から入れてなかったんだろう?」 なんて言われたら終わりだ。

藤井 本当に入れてなかったりして(苦笑)。いや、笑いごとじゃなくて、タイはおかしなやつが多いからね。因縁をつけて部屋代を割り引かせたり、賠償を要求したりするやつがけっこういるんだよ。こんなやつらがいるから、本当に盗まれてたりしても、相手は絶対に引かない。

ブラ 最初は、「警察を呼ぶぞ!」 なんてすごんでるんだけど、逆に 「だったら呼んでやろうじゃないか!」 って言われて、シドロモドロになったりね(笑)。

藤井 タイ人は警察を呼びたがらない。

ブラ よけいにややこしくなるんだろう。

藤井 お礼だなんだって面倒なんだな。パトロールなんて、ほとんど地回りだったりするよ。

ブラ 「警察」 っていう名前がいけないな。だから、みんな自国の警察と同じもののように思ってしまう。あれは別の名前で呼んだほうが、外国人には理解しやすい。

藤井 「有料よろず相談局」 とかね。「解決は金額しだい!」 なんて受付に書いとくと、わかりやすい(笑)。

ブラ 入学願書に 「合格したら、いくら寄付してくれますか?」 なんて書いてある国だから、それでもだれも不自然に思わないぜ、きっと(笑)。

 

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