カオディンの広い園内には植物園のように樹木が生い繁り、常に美しい花々が咲いている。緑が多いので、避暑にやってくる地元の人々も多い。
園内には何百種類もの動物がいるが、さすが熱帯の動物園だけに、変わった動物が多い。お辞儀をして餌をねだる白象や、子供たちの持つアイスクリームを狙う手長ザルなどがいて、ぶらぶら歩いているだけでも楽しい。
北極熊など、寒い国からやってきた動物たちもいることはいるが、熱帯の暑さでかなりバテ気味。
園内の池には有料貸ボートもあり、地元のカップルたちが、デート気分で浮かんでいる。
ウー・トン・ナイ通りを挟んで動物園の西側に立つ白亜の建築物は、旧国会議事堂ことアナンタサマーコム宮殿だ。
市内に動物園を作るにあたり、有識者による用地選定委員会が招集されたが、彼らが選び出した動物園建設予定地は当時の国会議事堂の真横だった。
「意味なく吠えたてたり、いぎたなく餌を奪い合う連中は隣り合わせにするのがよい」
というのがそのときの用地選定委員会の報告だったらしいが、用地の権利者だった王室関係者も、その理由を聞いて即座に同意したというから笑わせる。まるで小話のようだが、これは本当の話。
機知に富んだユーモアは、タイ人ならみんな持っている。 |