独特のヨーロッパ趣味で名高いラーマ5世が自分のための寺院として20年がかりで完成させた王室寺院。やはり 「どこか違う」 センスで造られている。
本堂、礼拝堂ともに、普通の伝統的タイ風寺院とは造りを異にしている。
中国製のタイルで飾られた本堂と礼拝堂をつなぐ回廊は、仏塔を取り囲む形で大きく円を描くようにカーブしており、一般的な角張ったデザインは踏襲されていない。
中央にそびえる黄金の仏塔は高さ43メートル。回廊が比較的高い位置にあることもあり、寺院全体が浮き上がっているようにも見える。
本堂内の装飾は、いかにもラーマ5世らしいデザインだ。なんでもこれは、フランスのベルサイユ宮殿風なのだとか。それがシャムの先進的王様の手にかかるとこうなるらしいが、ピタリと調和しているのだから見事だ。
本尊の仏像はラーマ4世時に造られたもの。台座の中にはラーマ7世とその王妃の遺骨が納められている。
本尊の頭上にかかっている大きな傘はラーマ5世の葬儀時に使用されたものをそのまま使っている。
また、本尊の前のガラスケースの中に入っている小さな仏像は、ラーマ4世が考案された仏陀像。しかし、残念なことに本物は盗難に遭っており、ここに置かれているものは、本物を元にしたコピー仏像。
盗品の行方はわかっていないが、敬虔な仏教国でもこういうことが起こるのだ。 |