ワット・プラケオ
(正式名称:ワット・プラ・シーラッタナ・サーッサダーラーム)

 

 チャクリー王朝の護国寺で、本堂にエメラルド色の仏像を祭ってあることから 「エメラルド寺院」 とも呼ばれている、タイ国で最高の地位と格式を誇る王室寺院。
 タイ王室、そして国家的重要儀式専用の第一級寺院であり、チャクリー王朝の国王みずからが代々管理責任者を努めることになっている。現在の責任者は、もちろんプーミポン・ラーマ9世王だ。

 王室専用寺院の考え方は徹底しており、この寺では僧の修行すら許されておらず、タイ国で唯一の僧侶のいない寺院になっている。
 しかし、僧侶も住むこが禁止されているこの寺、本来なら一般人の参拝などできるはずのない 「神聖な聖地」 なのに、なぜか現在は、タイでもっとも有名な観光地になっている。不思議と言えば不思議な話だが、このあたりにも本音 (立派な寺院を見てもらいたい。観光収益を上げたい) とタテマエ (王室関係者しか参拝できない高貴な寺院) を見事に使い分けるタイ人の性格が象徴的に現れているのかもしれない。

 とにかく、このワット・プラケオは、タイ国最高の格式を持った寺院であるばかりではなく、タイ国とタイ人の性格や人生観をそのまま凝縮したような寺院だ。
 現地の観光ガイドに案内された程度ではなにも見いだせないほどこの寺は奥が深いので、できればじっくり拝観したい。

 境内は広いようでいて狭いが、初めてここを訪れた人は必ず方向感覚をなくすと言っていいほど複雑に建築物が配置されている。
 地図で自分の位置をしっかり確認し、念入りに見学したいものだ。

 

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