「王様の住む寺」 という名前が示すとおり、のちにラーマ4世となるモンクット王子が、ワット・ボウォニウェート管長就任以前に住まわれていた寺。
近くにカトリック寺院があり、王子はここでカトリックの司教からフランス語とラテン語を教わり、司教は王子からパーリ語とテラワーダ仏教(小乗仏教)思想を教わったという。
ラーマ5世時になると、稀代の天才建築家ナリットサラーヌワッティウォン親王の手による礼拝堂が新築された。白塗りの外壁にワット・ベンチャマボーピットで用いられたオレンジ色の屋根瓦がまぶしい。
ワット・ラチャティワート自体はごく当たり前の寺院だが、この木造の礼拝堂は人の目を引き付ける魅力がある。
礼拝堂内にはイタリア人画家によるフレスコ画が描かれており、ラーマ5世とナリットサラーヌワッティウォン親王によるタイ仏教と西洋美術との折衷昇華が試みられている。
チャオプラヤー川沿いに建つ美しい礼拝堂だが、わざわざ訪れる観光客はほとんどいない。 |