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エクスプレスボート
詳細観光案内1

by 藤井伸二+ブライアン

 

乗船前の解説

 もっとも安く、簡単に、だれもができる船旅、それがチャオプラヤー川のエクスプレスボート・トリップだ。
 ボートは毎日毎朝6時前から夕方7時すぎまで、年中無休で運行している。

 座り心地が悪かったり、席に着けなかったりすることがあっても、エクスプレスボートはバンコク市民の足として航行している船なので、やむをえない。この船は観光客のためにあるわけではないのだ。
 かわりに、いつでも乗りたい時に好きなだけ乗れるし、どこから乗ってどこで降りることができる特典がある。
 こんな気ままな乗り方ができるのも、庶民の足の魅力だろう。

 ボートが航行する川は、日本人には 「メナム川」 として有名なチャオプラヤー川(メー・ナーム・チャオプラヤー)だ。タイ語で川のことを 「メー・ナーム(水の母)」 と呼ぶのでそう伝わったのだろう。
 タイ人は固有名詞で呼ばず、単に川とだけ呼んでいる。タイの国土を流れる河川は、大小を問わずメー・ナームなのである。

 このチャオプラヤー川は、古来からタイ国の大動脈として利用されてきた。総全長は約1,200qもあり、水源をタイ北部地方の山岳地帯に取っている。
 その、いくつもある支流が中部のナコーン・サワン県で合流し、チャオプラヤー川と名付けられて、さらに下流で合流を重ね、旧都アユタヤーを通り、肥沃な大地チャオプラヤー・デルタ地帯を形成しつつバンコクとトンブリーを分かち、タイ湾へと注ぐ。ナコーン・サワン県からの全長は約360kmだ。
 流水量は多く、大河にもかかわらず流れは速い。

 空路や陸上交通網が現在のように発達する以前は、海外からやってくる大型船はすべてこの川を逆上って市内中心部にたどり着いた(今でもクロン・トゥーイまでは貨物船が来る)。
 アユタヤーがかなりの内陸に位置しながら国際貿易都市としての地位を得ることができたのも、この川があったからこそなのだ。

 以後、都がトンブリー、バンコクへと遷都された後もチャオプラヤー川は常にその中心にあり、市民の生活・文化の発展に大きな貢献を果たしてきた。市民はこの川がおかげで豊かな暮らしを送ることができ、国家の近代化への門戸もこの川を起点として開かれたのだ。

 こうした歴史のある川なので、周辺に立ち並ぶ建築物の多くも歴史的に重要な由緒あるものばかりだ。古い寺院の屋根、旧ヨーロッパ風建築の教会、水上交通が盛んだったころ使われていた倉庫、水辺に住む旧来からの庶民の家など名所旧跡見どころが右に左に密集している。

 ボートは速度もあり、一度でこの川のすべてを知るのは困難だろう。たとえ見ることができたとしてもそれは見ただけであって感じたことにはならない。

 焦らず騒がず気軽に乗船し、この悠久の流れの中を何度も往復しながら、19世紀シャム国の雰囲気を味わうのがコツだ。
 なにしろそれが、本来のタイの旅の姿でもあるのだから。 

 

*** 注意 ***

 最近は、途中の小さな船着き場をスキップして進むエクスプレスの中のエクスプレスが増えた。

 識別の方法は、船体の前と後ろに掲げられている小さな旗。この旗の色で、停船する船着き場が決まる。緑色の小旗が掲げられていれば、緑色の旗が立っている船着き場に停まるというわけだ(左の写真)。
 もっとも、その船着き場がどこなのかは、乗り慣れないとわからないだろう。

 各停に乗りたければ、朝夕のラッシュ時は避けて、昼間の時間帯を利用しよう。

 また、船体の大きい新造エクスプレスボートは料金体系が別になっている(料金一律11〜19バーツ)。
 節約したい場合は大型船は避けよう(新造エクスプレスボートは朝夕のラッシュ時のみ運行中)。

 

 

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