ワット・スタット

正式名称:ワット・スタットテープワラーラーム

 

「寺院は都の中心になくてはならない」
 というラーマ1世の考えに基づいてラッタナーコシン島の中心に建立された王室寺院。
 まずバラモン教の神殿と祭事用の大ブランコを建ててから本格着工に入ったと言われ、全体にバラモン教が色濃く反映されている(タイの王朝は伝統的に仏教とバラモン教を同時に信仰しているのだ)。
 ラーマ1世は、この寺をワット・マハ・スッターワートと命名して基礎工事に着工。
 続くラーマ2世が本堂と礼拝堂の建立に取り掛かり、着工から27年の歳月を経たラーマ3世時になってようやく完成して、名称をワット・スタッサナテーパターラームと変更。
 さらにラーマ4世がワット・スタットテープワラーラームと名称変更し、現在に至っている。

 ともかく目につくのは巨大な礼拝堂だ。
 この礼拝堂は計2段の台座の上に建てられており、堂内にたどり着くまでに2つの階段を昇らなければならない。
 1段目の台座の周囲は28基の中国風仏塔が並べられたカンペンケーウという低い塀で囲まれており、2段目の台座の四隅にはサーラーと呼ばれる小さな東屋が建てられている。

 本堂内に入る前に、入口の扉をじっくりと見ておこう。
 金色に塗られた高さ5メートル強の観音開きの扉に、複雑な木彫り細工が施されているだろう。本来ここにはラーマ2世自らの手で細工された木彫りの扉があったのだが、1959年に発生した火災により一部が消失してしまった。現在使用されている扉はもともと礼拝堂背部用に製作されたものなのだ。背後用に製作されたものでも、当時の扉は現代の前面部に使えるほど細工は細かい。
 試しに後ろへまわってみよう。新しくはめられた扉は細工らしい細工もない貧弱なただの扉だ(火災に遭ったラーマ2世作の扉は取り外され、現在は国立博物館に展示されている)。

 巨大な礼拝堂内の中にある仏像もまた巨大だ。
 これは、今は遺跡と化した15世紀のタイ中央部に栄えたスコータイ王朝でもっともも重要な寺院だったワット・マハータートからラーマ1世が筏に乗せてバンコクに運ばせたプラ・シーシャカムニ(シャカムニ仏)という仏像に、ラーマ2世が若干の手を加えたもの。
 幅6.25メートルのこの仏像は、スコータイ王朝時の仏像の中でも最大であったというが、現代でも十分に巨大だ。
 なにしろ寺院前まで運んできたにもかかわらず、肝心の寺院の間口が狭くて仏像を御通しすることができなかったというほどで、ラーマ1世は門を壊して仏像を境内に通したが、仏像を本堂に納めると同時に力尽きて、ご崩御されたとか。

 この大仏像の台座には、1946年に亡くなられたラーマ8世の遺骨が納められている。寺院境内の東北角に立てられているのは1973年に鋳造されたそのラーマ8世の等身大銅像だ。

 また、あまり気づく人もいないのだが、この寺院にはタイの寺院につきものの仏塔がない。
 かわって、本来仏塔があるべき場所にはガジュマルの樹、菩提樹、祠などが立てられ、仏陀の生涯が簡潔にあらわされている。
 しかし、仏教聖典を熟読している人以外、その意味を理解するのは困難だ。

 

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