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エクスプレスボート
詳細観光案内3

by 藤井伸二+ブライアン

 

タークシン橋からメモリアル橋へ

 タークシン橋をくぐると、ここからは高級ホテル街となる。まず橋の右側たもとから連なっている白い豪壮な建物は、1986年にオープンしたシャングリラ・ホテル。橋側が1991年に完成した新館で、大きい建物は旧館だ。

 シャングリラ・ホテルの隣りには、大理石造りの大聖堂が美しいアサンプション教会があるのだが、周囲を取り巻く付属学校校舎の陰になっていて、ほとんど見えない。

 その校舎の隣りに建つアイボリー色の北欧風建築物は旧E.A.C.オフィス(左)。現在は業務していないが、世界的な大複合企業イースト・アジアテック・カンパニー発祥の地がここ。シルベスター・スタローン主演の映画 『ランボー3』 の冒頭で、アメリカ大使館として映し出されているのがこの建物で、上官役のS.クレンナがベンツで走り去るのは、こことオリエンタル・ホテルの間の路地だ。

 その旧E.A.C.横の船着場がオリエンテン船着場、すぐ後ろに立っているのが有名なオリエンタル・ホテルだ。

 対岸にそびえ立っている高層ビルは1998年にオープンしたペニンシュラ・ホテル(右)。香港に拠点を置き、世界一のホテルと名高いあのペニンシュラがバンコクに進出してきたのだ。

 このオリエンテン船着場を出てからは、川の両岸に見どころがいっぱいに並び、船上の観光客はもうわずかのよそ見も許されない。
 すべてを見物するには集中力が必要だ。

 オリエンタル・ホテルのすぐ隣りで樹木の間に見え隠れしている小さな建物は、タイで2番目に古い歴史を持つフランス大使館。川沿いの一等地に立っているあたりがその当時のフランスの勢力・国力を物語っている。

 大使館の横に立ついかめしくて古い建物は、19世紀末に建てられた旧税関事務所(左)。チャオプラヤー川が海外に開かれた唯一の門戸であった当時は税関も川沿いにあったのだ。
 もともとはイギリス大使館として作られたらしく、そう言われれば威厳のある造り。現在は水上消防隊の本部として利用されているが、ともかく昔はここがモダンな海外文化の流入地だったのだ。

 その隣の船着き場はワット・ムアン・ケー船着場で、G.P.O.(中央郵便局)に行くときはここで下りる。
 船着き場のすぐ横にある全面の青いガラスが印象的な建物は中央郵便局の新館、C.A.T.(タイ通信公社)のテレコミュニケーション・タワー(右)だ。

 その横には銀行、さらにその横にはポルトガル大使館がある。この1820年に建てられた大使館がタイ国で最初の大使館だ。船上からはちらっとだけしか見ることができないが、イギリス大使館といいポルトガル大使館といい、この当時勢力を誇った列強が今ではすっかり凋落しているのは時代の流れか。

 この古さ一番の大使館の隣りに堂々とそびえ立つのが1983年にオープンした28階建てのホテル、ロイヤル・オーキッド・シェラトン(左)だ。
 その左隣りの低層ビルはリバー・シティ・ショッピング・コンプレックス。高級みやげ物と骨董品がセールスの主力だが、トンブリー側にある運河や川沿いの観光地へのボート・トリップ出発地点としても有名だ。

 このリバー・シティの真横に立っているのが1987年に新装改築された聖ロザリー教会(右)。
 建物は新しいが、創立は200年以上前と、かなりの歴史がある。

 ここで対岸に目を向けると、ソフィテル・ホテル・バンコクが立っている。しかしこのホテル、外観は完成しているものの、内部はまったく工事現場のまま。タイ人オーナーが金払いを渋り、腹を立てたソフィテルが手を引いて、そうこうしているうちにオーナーが破産してしまったというタイ不良債権の象徴的建物だ。

 シェラトン・ホテル横のシー・プラヤー船着場を出ると、次の船着場まで距離があるためか、ボートは岸から離れて川の中央付近を航行する。川幅はこのあたりで400メートルくらいだろうか。真ん中まで出てみるとその雄大さがよくわかる。

 エクスプレスボートは左側通行が規則のようで、上りのボートは下りよりも岸辺から遠いところを走る場合が多い。

 ボートがふたたび右に船体を寄せると、近づいてくるのがラーチャウォン船着場(左)で、この船着場の一帯がいわゆるチャイナタウン。古びた木造の建物が軒を連ねている。
 現在、船便はクロン・トゥーイ港で受け渡しされているが、税関がこの近くにあった時代はここがバンコク最大の荷揚げ場であった。
 チャイナタウンが商業の中心地として発展したのも、ここに港があったからなのだ。

 時間があれば、降りて歩いてみよう。古きよき市場サンペーンは船着き場のすぐ近くにあるし、泥棒市場と呼ばれているナコーン・カセームはその先にある。

 

 

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